自動車保険(任意保険)の掛金を安くしたいなら、内容の比較検討が大切です!



自動車保険(任意保険)の加入率

こんにちは、ミュンヘンのWeb担当 mak utusunomiyaです。先日、自賠責保険について解説しましたが、本日は任意保険、いわゆる自動車保険について解説してみたいと思います。自動車保険とは、自賠責保険だけでは足りない補償を補ってくれる保険です。

参考 : 自賠責保険(共済)の補償内容解説と主要車両保険料。

 

意外と低い加入率

今回の記事を書くにあたり統計を調べてみた結果、全国平均の加入率が、対人保障・対物保障ともに“70%程度”となっています。

結構高い数値のように思いますが、私は任意とは名ばかりで、自動車に乗る方にとっては加入は義務のようなものだと思っていたので驚きの数値でもあります。

今までの賠償命令で、人身事故で6億弱と言う支払い事例があったようですが、億越えになる賠償額と言うのは実は思っているほど少なくないのです。また、自賠責では対物は補償されません。

高額な荷物を積んだトラックに追突した場合や、家屋を壊してしまった場合、賠償額はすぐに数千万~数億に至ります。

事故と言うのは、いくら自分が気を付けていても絶対に起きないというものではありません。

不況が続く昨今、毎年(毎月)保険掛金を払うのは家計にとって大きな事ではあるとは思いますが、賠償額に比べればずっと少ない金額です。もし、少しでも保険掛金を安くしたいのであれば、保険内容をある程度理解しておかなければなりません。

全ての事故をカバーできる保険であればいう事はありませんが、少しでも保険掛金を安くしたいと思う方の為に、メジャーな保険特約を例題と共に解説してみたいと思います。

 

自動車保険特約内容解説

対人賠償責任保険

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文字通り、対人つまり相手方を死亡させたり、傷つけたりした場合に支払われる保険です。法律上の損害賠償保険責任を負う場合の人身事故の損害に対し、自賠責保険(共済)の支払額を超える部分について保険金を支払う保険です。

故意による事故の場合、保険金が出ない場合がありますので注意が必要です。無免許運転や、酒気帯び、違法薬物や危険ドラッグによる事故については被害者保護の観点から保険金が支払われますが、人としてやってはいけない事ですので、保険をあてにする以前の問題ですね。

対人賠償については、まず自賠責保険が優先して支払われます。そこで補えない部分が対人賠償責任保険(共済)から支払われます。

 

人身事故賠償責任の額の計算と例題

■ 公式 : 賠償責任の額=相手方の損害額×被保険者の過失割合

例題
1000万円の対人保険を掛けている被保険者makotoさんが保険契約自動車を運転中、歩行者masaruさんをはね大怪我を負わせてしまいました。massaruさんは怪我の治療や休業中の給料などの損失合わせて2,000万円の損害を負ってしまいました。

過失割合は、makotoさんが100%という判断が下りました。この例でいうと、masaruさんへの支払額計算式は。

■ masaruさん損害額2,000万円×過失割合100%=makotoさんの支払損害賠償責任の額は2,000万円

上記でも解説してますが、億単位の支払い命令が出ている事例も発生しています。もし、makotoさんが1,000万円の保険にしか加入してなかったら・・・。

対人賠償は無制限にしておくことをおすすめします。

 

※ 過失割合とは!?

過失割合とは、事故の原因により、どっちがどれだけの賠償責任を負うのかを表すものです。勘違いしている方も多いと思いますが、これは警察が決めることではありません。過去の判例等を元に保険会社間で決定します。

 

対物賠償責任保険

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対物補償の解説に移りますが、ここからは自賠責では補償されない特約になりますので、加入は必須かと思われます。

対物補償は、文字通り相手の物に損害を与えた場合に支払われる保険です。

対人賠償と同じく過失割合が発生します。その他対人賠償と同様、被害者保護の適用はされますが、人としてやってはいけない事はしないようにしましょう。

 

対物賠償責任額の計算と例題

■ 公式 : 相手方の損害×損害を与えた方(被保険者)の過失割合=支払い賠償責任額

例題1
masaruさんが乗る車が、誤って事故を起こし相手の自動車に損害を与えてしまいました。運悪く相手の車が高級車だったため、修理金額が200万円でした。

masaruさんの加入している保険金額は100万円で、過失は70%でした。以上の内容で計算して見ましょう。

■ 相手の損害額200万円×過失割合70%=支払い保険金額140万円

と、なります。加入している保険金額が100万円のため、差額の40万円はmasaruさんの自己負担となってしまいます。

例題2
makotoさんの乗る車が、誤って事故を起こし相手の自動車に損害を与えてしまいました。相手の車は高額な工業用ロボットを積載したトラックで、損害額は5,000万円となってしまいました。

makotoさんが加入している保険金額は無制限補償、過失割合はmakotoさんが100%という判断が下りました。

■ 損害額5,000万円×過失割合100%=支払い保険金額5,000万円

となります。しかし、makotoさんは対物無制限補償に加入していたおかげで自己負担額は0円になります。

現在までの対物賠償の判例で2億を超えるものも出てきているようです。対人同様、保険金額は無制限にしておく方が良いでしょう。

 

免責金額とは!?

対物には免責事項を付加することが出来ます。例えば免責金額を5万円に設定していたとすると、支払われる補償額から5万円引かれてしまいます。

設定しておくことにより、多少掛け金は安くする事が出来ますが、加入する時は数字上で5万円と書かれているだけなので少なく見えますが、いざ支払わないといけないとなれば納得がいかないものです。

対物の場合はほぼ免責を設定していない方が多いのではないかと思いますが、加入時には覚えておいても、時間が経てば加入内容を忘れてしまうものです。

一度保険証券を確認しておいた方が良いかも知れませんね。

 

対物超過特約(対物全損時修理差額費用特約)

一般的に対物超過と言われる事の方が多いと思います。どういったものかというと、Aさんが200万円で新車を購入していたとしても、数年経過すれば車両の価値は下がってしまいます。(現在の価値=時価額といます。)

ここでは20万円まで価値が下がっていたとしましょう。

makotoさんが、誤ってAさんの車両に追突し30万円の損害を与えてしまいました。しかし、Aさんの車両時価額は20万円です。この場合、本来であれば支払いは20万でいいと言う事に法律でなっています。しかし、それではAさんも納得しないでしょう。

示談交渉が長引く可能性もありますね。そういった時、円満に示談を進めるための特約になります。

例題1
■ 公式 : (相手自動車修理費ー相手自動車の時価額)×保険加入者の過失割合=対物超過支払額

相手自動車の修理費が70万円とします。時価額は20万円。それに過失割合が加算されます。上記の計算式に下記の事例を当てはめます。

makotoさんが、事故を起こし相手に30万円の損害を負わせたとします。makotoさんの過失は80%とします。

現在の相手車の時価額が20万円だとすると・・・。

■ (相手損害額70万円-相手車両時価額20万円)×makotoさんの過失80%=対物超過支払額は40万円。

となります。この特約は数年前にできました。本来であれば時価額以上の支払いは法律上必要ないものの、示談を円滑に進めるために、予算に余裕があれば加入しておきたい特約だと思います。

 

人身傷害補償保険

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少し前までは、搭乗者特約が主流でしたが、搭乗者特約は保険加入車両に同乗している方限定の特約でした。しかし、これだけでは満足出来る程の保険金が出ないため、最近では人身傷害特約が主流になっています。

人身傷害特約は、運転者自身並びに、車両の同乗者への保障も補ってくれます。また、示談成立までに保険金がでたり、自動車事故以外の家族の事故に対し保険金が支払われるという大変優れた保障内容となっています。

自動車保険に生命保険が付帯していると理解していいでしょう。

人身傷害補償特約には幅広い内容があり、自車同乗者への保障だけでなく、人身犯罪事故特約を付帯することで、以下のような保障がなされます。

  • 道交法上違反を起こしていると思われる人を注意したら、暴行を受けた。
  •  通り魔に急に襲われ怪我をした。
  •  車線をふさいでいる車両を注意したところ、相手が逆上し暴行を受けた。

人身傷害補償にも、幅広い内容がありますので、納得がいくまで保険会社と相談しましょう。

 

出来れば加入しておきたい保障

車両保険

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今までの保険が、相手方に与えた損害の支払いに当てられる保障に対し、車両保険は自身の乗っている車両の修理費に当てられ保障です。

加入できる保険金額は、現在乗っている車両の時価額により違いますが、対物保障の過失割合で保障されない部分を補うことができ、示談交渉がスムーズに進みます。

車両保険には、主に自損事故や車両の盗難にも対応している“一般の車両保険”と車同士の事故でしか保障されない“衝突危険限定特約”とに分けることが出来ます。

言うまでもなく、一般の車両保険の方が掛金が高くなりますが、予算に余裕があれば、一般の車両保険に加入しておいたほうが良いでしょうね。

車両保険の加入限度額は、時価額で計算される為、古くなった車両には通常時価額以上に保障をかける事はできません。このあたりは保険会社に問い合わせ、どこまで保険を掛けれるか確認しておきましょう。

大切な愛車を守るために、出来れば加入しておきたい保険ですね。

 

弁護士費用特約

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保険加入者が、歩行中に車にはねられましたが、相手方が支払いに応じる意思がない場合、弁護士を雇う為にある特約です。上述していますが、任意保険の加入率は全国平均70%程度になっています。

損害額を保障してもらえない場合に、弁護士や司法書士などに相談する事になりますが、費用が高額になる為出来れば加入しておきたい特約になります。

 

割引制度を活用して掛金を下げよう!

無事故を続ければ、掛金割引があります。

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自動車保険は、無事故を続ける事で、1年事に等級が上がっていきます。現在では20等級が最高で、20に行くにしたがって保険料が割り引かれていきます。無事故を続ける事で保険料が安くなっていきますので、安全運転を心がけましょう。

しかし、事故をして保険を使用した場合は・・・。もうお分かりですね。次回自動車保険更新時に掛金が上がってしまいます。

新規加入したときは、等級が6からスタートします。保険会社により、同居の家族と同じ保険会社に加入すれば、7等級からスタートできといった特典もあります。

等級継承ができます!

車両を乗り換えても、等級はそのまま継承できます。間違っても解約して新規で入らないように、等級が上がった自動車保険は大切にしましょうね。

 

その他の割引

保険会社により、割引サービスは変わってきますが、主に以下のような割引がありますので是非利用して下さい。

・新車割引
・エコカー割引
・福祉車両割引
・ゴールド免許割引

 

運転者年齢条件特約

保険をかけている車両を運転される方の、年齢により保険料が割引になります。この特約は、同居の家族に適用されます。万が一他人が運転しても、年齢条件は適用されません。しかし、後ほど説明する、「運転者限定特約」を付加される場合は、家族以外の方は運転させないようにしましょう。

全年齢 > 21歳以上の保障限定 > 26歳以上の保障限定 > 35歳以上の保障限定

といったように、保険をかけている車両に乗る方の年齢を制限することにより、保険掛金を安くする事が出来ます。年齢条件を付加する場合は、慎重に考えて行うようにしましょう。

万が一、年齢条件以下の方が運転された場合は保険金が支払われなくなります。

 

運転者限定特約

保険をかけている車両に誰が乗るかを限定することにより、保険掛金を安くすることの出来る特約です。

例えば家族だけが乗るのか、他人も乗ることがあるのかを制限することにより、保険掛金を安くすることが出来ます。家族限定などの条件を設定した場合は、他人に運転させないようにしましょう。

 

車両乗換時の異動手続き等

保険の契約内容に変更をする事を、異動処理と言います。

  •  車両を乗り換える。
  • 住所地が変更になる。
  • 結婚して姓が変わる。
  • 車のナンバーを変更する。

こういったように、保険契約自動車やご自身に関する変更事項があった場合は速やかに、加入保険会社に連絡し異動手続きをとっておきましょう。

良くある話ですが、年齢条件を変更せずに掛け金が高いままになっている方がいます。年齢条件が適用できる年齢になれば、保険内容を変更するとお得になりますよ^^

 

保険会社を比較する事も大切です!

大まかな保障内容は、各保険会社でほぼ同じ内容となっていますが、同じ特約でもどこまで保障されるのかは微妙に違います。保険会社も、他社と全く同じでは掛金だけでしか比較が出来ないですからね^^

如何に他社との違いを作れるかを、日々研究されている事だと思います。

私的には、ただ安いからといった理由での加入は疑問が残ります。自分にはどんな保障が一番必要なのかじっくりと比較検討してから加入、乗換えをするようにした方が良いかと思います。

 

まとめ

保険の内容は保険会社によりほぼ似通っていますが、特約内容を知ることで掛金を安く済ませたり、必要のない特約を削り掛金を安く済ませることが出来ます。

予算や保障内容を徹底比較して自分に最適な保険を確保しておきましょう。

当店でも、ファイナンシャルプランナーの資格を持っている保険屋さんを紹介する事もできますので、是非ご相談をいただければと思います。

年間数万の保険金をケチることで、一生を台無しにする事も考えられます。自動車保険の加入を強くおすすめいたします。

 

※ 今回は大まかな内容を解説していますが、保険会社により内容が変わってきますので、疑問点があれば加入している保険会社に相談してみるようにしましょう!

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