- 2015-11-4
- Update 2018-5-7
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エンジンオイルの交換時期は距離か期間か?
みなさんこんにちは!ミュンヘンのWeb担当mak utsunomiya(@munchen_stil)です!愛車を長く乗る為には消耗品である冷却水やゴム部品で出来た足廻りのブーツ類、そして今回のテーマでもあるエンジンオイル等は早めの交換が必須となります。
当店のお客様で最長距離を記録しているのは何と50万kmの軽の箱バンです。車は新車で買っても多少のあたりはずれは存在します。中古車になればなおさら前オーナーのメンテナンス次第でそれは大きくなります。
しかし、50万kmもの距離を走行している方は、オイルの交換や冷却水、車の異音にシビアに反応し、症状が酷くなる前に部品を交換されています。一昔前までは車は10万km越えると車は終わりみたいな風潮がありましたが、日本車の精度は今や世界トップクラスです。
世界でもトップシェアを誇るトヨタ車などは、しっかりメンテナンスさえされていれば20万キロ走っても異音の一つすらしません。
新車価格で1000万円を超える外国産の車が、中古車になると値落ち率は日本車と比べて半端ない下落率になっています。絶対とは言えませんが、故障が多いとかって話もありますしね。
ま、それを差し引いても外車にしかない魅力があるのは否定しません。ドイツ車などはデザインや走行性能は独特の感性が宿っていますし、圧倒的オーラを持っています。ステータスと言う面でも超一流です。私もBMWとか憧れますしね^^
ただ、値落ちの激しさは否定できないデータとして現れています。大手自動車カタログサイトを見れば一目瞭然です。
私的には外国産の車の性能を完全否定しているわけではありません。日本の気候に合わない等の原因も考えられるからです。しかし、日本車は沖縄から北海道。そして独特の湿度などに耐えうる性能を有しているのです。その辺りが、日本車=壊れ難いという図式になっていると思われます。
日本では廃車寸前のものが海外に当たり前に輸出されている事からも信頼性は世界でも認められている証なのだと思っています。
毎度の事ながら話がそれかけたのですが、車を長い間乗り続けるためにはオイル管理は大切だという事をこの記事でお伝えしたいと思います。と、その前にエンジンオイルの役割を簡単にご説明しましょう^^
オイルの役割って大体こんな感じだよ!
- 摺動抵抗軽減
- エンジンの冷却能力
- 錆を防ぐ
エンジン内部洗浄能力 - ピストンとシリンダーの密閉作用
摺動抵抗軽減
エンジンは常に空気とガソリンを混合したものをプラグで点火し、その爆発力によりピストンを動かし動力に繋げています。完全な電気自動車でもなければ必ずこの動作で動力を得ています。ハイブリッドもエンジンついてるからこの法則に従わなければなりません。
つまりは、ピストンの上下運動により動力を得ているのです。ピストンは筒状のシリンダーの中で常に上下運動を繰り返しています。金属同士なので、オイルと言う潤滑剤がなければすぐに故障に繋がる事は想像に難くないでしょう。
エンジンの冷却能力
上記で示したようにエンジンはガソリンと空気の混合物を爆発させて動かしているので、かなりの高温になります。そのままだとオーバーヒートを起こしてしまいますが、クーラント(冷却水)で一定の温度に保つようにされています。
しかし、クーラントだけでなくエンジンオイルもその一端を担っています。
冷却水は温まり難く冷め難い特性を持っていますが、オイルは温まり易く冷えやすいという特徴を持っています。冷却水とオイルでエンジンを冷やしているのです。
錆を防ぐ
エンジンは主に鉄が使われています。お気付きの方も多いでしょうが、エンジン内部に錆が発生すると摺動部分が円滑に回り難くなります。
そういった事を踏まえ防錆効果の観点からもオイルは必須なのです。鉄と空気を遮断する効果ですね。趣味で車を所有し、殆ど乗らないって方は、ひょっとしたら・・・。って感じです^^
エンジン内部洗浄能力
エンジン内部は部品と部品が常に擦れあっています。オイルを水と仮定するとどうでしょうか?金属は直ぐに磨耗してくる事は、すぐに想像できるのではないでしょうか?
オイルで抵抗を少なくしていますが、それでも金属は擦れ合い金属片が出てきます。
また、長期間オイル交換していないとスラッジと呼ばれるオイルのカスのようなものが発生します。そうなっては、狭いオイル通路を塞ぎ円滑なオイル潤滑が出来なくなります。
長期間オイル交換をしていないとスラッジが溜り、エンジン洗浄剤を使うと一気に汚れが落ちてしまい、オイル通路を塞いでしまうという悪循環に陥ってしまいます。思い当たるフシがある方は、いきなりのエンジン洗浄剤はやめておきましょう!
そういった場合は、こまめなオイル交換でエンジン内部の汚れも溜めないようにします。
ピストンとシリンダーの密閉作用
上記でも説明しましたが、筒状のシリンダーの中をピストンは上下運動を繰り返しています。と言う事は、わずかながらもピストンとシリンダーの間には隙間があるのです。隙間が大きくなるとせっかくの爆発力がその隙間から逃げて、エンジン本来のパワーを発揮できなくなります。
そのわずかな隙間をエンジンオイルは塞いでくれています。オイルがエンジンの性能を100パーセント発揮できるように頑張ってくれているのです。
ここまでの説明でエンジンオイルの大切さを感じていただけたら本望です^^
本題に入る前にオイル粘度の定義を見てみよう!
5W-30と0W-20を例にとって見てみましょう。このように○W-○○という表示はSAE粘土分類と言います。数値が二つあるのでマルチグレードなんて言われています。シングルグレードというものもありますが、使用できる温度域が狭く季節により使い分けが必要になります。
今では冬でも夏でも使えるマルチグレードが一般的になってます。
SAE規格から見るオイル粘度の指標
SAE規格とはアメリカの自動車技術者団体が定めている規格です。「オイルって〇〇〇のメーカーが良いよ!」「この車には〇W-〇〇の方が絶対良い!」なんて言いますが、オイルに関しどこまでの知識があってそういっているのか?
正直、この記事を書いてる私も理解できないデータ部分は沢山あります^^
ディーラーさんならその車両のデータを持っているので、それにあった純正オイルを指定してくるでしょうし、勿論当店でも取り扱い説明書で指定されているグレードのものを入れるようにしています。ただそれだけです。
整備工場やディーラーさんでもオイルの規格については明確な回答を得る事は正直難しいと思います。それ程オイルの規格と言うのは難しいものだという事を理解していただきたいなと思います。
単に、私の脳がついていけないだけかも知れませんがね~^^それでは、早速SAE規格表を見て行きたいと思います。
この記事を書くに当たり沢山のオイルメーカーサイトを見てみましたが、各項目の数値を具体的に説明してあるものは殆どありませんでした・・・。
独自に研究されている方のサイトでもかなり難しく書いてありますので、沢山の記事を参考にし私なりに解釈し簡単に説明している事をご了承下さい^^
低温時の粘度
ASTM試験法 | D5293 | D4684 | D445 | D483 |
---|---|---|---|---|
SAE粘度分類 | ■ 低温 クランキング(CCS)粘度 以下, mPa・s | ■ 低温 ポンピング粘度 MRV以下, mPa・s | ■ 動粘度 (100℃)CST | ■ 高温せん断粘度(HTHS)粘度 (150℃,106s-1) 以上, mPa・s |
最低 | ||||
0W 5W 10W 15W 20W 25W | 6,200(-35℃) 6,600(-30℃) 7000(-25℃) 7,000(-20℃) 9,500(-15℃) 13,000(-10℃) | 60,000(-40℃) 60,000(-35℃) 60,000(-30℃) 60,000(-25℃) 60,000(-20℃) 60,000(-15℃) | 3.8 3.8 4.1 5.6 5.6 9.3 | - - - - - - |
低温時の粘度は表の左2つが大きな指標となっています。それでは各項目を簡単に説明してまいります。
- SAE粘度分類は上述したように、マルチグレードオイルの低温時の能力の数値です。
- クランキング粘度(CCS粘度)は、エンジンを始動して良い外気温を指します。0Wになる程柔らかいオイルと言え、低温時の始動性に大きく影響する部分になり、さらに低温時のエンジン負荷の軽減につながり燃費性能に影響を与えます。
- ポンピング粘度とはエンジンのオイルポンプがオイルを吸い上げる事の出来る温度を指しています。極低温時に素早くエンジン全体にオイルを供給できる能力の指標です。
しかし、車種事にオイルポンプの能力が違うため、参考までにしておいていただきたいと思います。
- 動粘度100℃(CST)とは、オイルが100℃の時の粘度を表しています。ちなみに、水の粘度は1cstです。高温時のオイルがどの程度の粘度を持っているかを知る指標になります。器具を使ったアナログ的な計測方法もあるようですが、今ではコンピュータで計測しているようです。
高温時の粘度
ASTM試験法 | D5293 | D4684 | D445 | D445 | D483 |
---|---|---|---|---|---|
SAE粘度分類 | ■ 低温 クランキング(CCS)粘度以下, mPa・s | ■ 低温 ポンピング粘度 MRV以下, mPa・s | ■ 動粘度 (100℃)CST 最低 | ■ 動粘度 (100℃)CST 最高 | ■ 高温せん断粘度(HTHS)粘度 (150℃,106s-1) 以上, mPa・s |
16 20 30 40 50 60 | - - - - - - | - - - - - - | 6.1 6.9 9.3 12.5 16.3 21.9 | 8.2 9.3 12.5 16.3 21.9 26.1 | 2.3 2.6 2.9 3.5/3.7 3.7 3.7 |
・150℃せん断粘度(HTHS)とは、エンジンオイル150℃時のオイル油膜の保持能力と捉えても言いかと思います。因みに、2.6を切るとエンジンが焼きつくと言われています。SAE粘度分類で20がぎりぎりの所ですね!
自身の経験談としてお話しますが、ベストモータリングを半端なく見てた頃、スカイラインGT-Rやランエボなど、日本が世界に誇るGTカーが隆盛の平成10年前後にノーマルカーでどれだけエンジンオイルの温度が上がるか実験している時がありました。
日本では、速さのある程度の目安として筑波サーキットを使っていましたが、プロドライバーが本気でせめても油温は120℃くらいでしたね。
当時私はランエボⅥに乗ってました。油温計付けてましたが思いっきりせめても、油温は90~100℃付近でした。腕が言い人ならもう少し高いかも知れませんが・・・。
今現在、それだけ全開でエンジンに負荷をかける走りが出来る場所はサーキット以外ではないでしょう。公道では絶対無理です。と言うか、そんな人がいたら通報します^^
つまり、普通に走る分には20で全く問題ないと言う事になります。
SAE粘度表を見て思った事
こんな事言ったら見も蓋もありませんが、これ見て自分の車に最適なオイルって分かりますか?^^分からないですよね?わかる方はかなり化学に精通している方だと思います。
そして、この表見て思いっきり悩むのは、サーキットをぶっぱなす人だけだと思います。通常走行では0W-20や5W-30で問題ない事位は分かりますね^^
最適なオイルの交換時期はこれだ!
記事タイトルから言うとこっからが本番で、今までのは前置きだったって話になってしまいますが^^オイル交換の最適なサイクルを考えてみたいと思います!
メーカー推奨オイル交換時期こそ最適!
交換Km | 期間 | |
---|---|---|
NA(ターボなし) | 10,000km | 6ヶ月 |
ターボ車 | 5,000km | 6ヶ月 |
メーカーが10,000キロといってるのに何故にディーラーや整備工場では5,000キロといってるのでしょうか?
とあるサイトでは、「商業目的でそういってんだよ!メーカーが10,000キロで良いって説明書に書いてあるんだからそれで良いんじゃね?」と言ったものです。ま、これは説明書に書いてあるんだから私も全否定できない所もあります・・・。
でも、ここには大きな落とし穴があるのです!それは又後ほど説明しますね^^
メーカー推奨オイル粘度
規格 | ターボなし | ターボ車 |
---|---|---|
0W-20 | 5W-30 | |
5W-30 | 5W-30 |
しかし、半端なカスタムではそれも無意味だったと今では思います。高いオイルをホイホイ交換してましたしね^^若気の至りといえばそれまでですが^^
現在では、それ程車を気合入れていじる人も少なくなってるように思います。どっちかって言うと見た目重視のカスタムに移行しているように思います。
エンジンを酷使して走る人も少なくなったと思いますし、公道で危険走行なんてもってのほかです!
つまりは、サーキットを全開走行しない限りメーカー推奨が最も最適なんです。自動車メーカーって何億、いや何十億もかけて車を開発してるんですよ?そうやって開発されたものを無視できるはずがありません。
シビアコンディションでは交換サイクルは早くなる!
上記でも言いましたが、実は、上記のメーカー推奨交換距離には落とし穴があります。オイル交換推奨時期の下に目を落とすと、シビアコンディション時という項目が別項に記載されています。
シビアコンディションでの走行が多い場合は上記の10,000km、6ヶ月の交換サイクルは適用されません。ターボなし、ターボありそれぞれ距離と期間は半分になります!
それが次の表になります。
5,000km以内、6ヶ月以内がオイル交換の理想!
条件 | 条件の目安 |
---|---|
悪路(凸凹路、砂利道、雪道、未舗装路など) | 走行距離の30%以上が次の条件の場合。 ・ 運転者が体に衝撃(突き上げ感)を感じる荒れた路面 ・ 石を跳ね上げたり、轍などにより下回りをを当てたりする場合の多い路面 ・ ホコリの多い路面 |
走行距離が多い | 20,000km/年、走行する場合 |
山道、登坂坂路 | 走行距離の30%以上が次の条件に該当する場合 ・ 登り下りの走行が多く、ブレーキの使用回数が多い場合 |
短距離走行の繰り返し | 1回の走行が8km以下で冷却水の温度が低い状態での走行が多い場合 |
さらに、同車種でもグレードによりスポーツセッティング仕様があるなら、さらに突き上げ感は増すでしょう。上り下りの定義も曖昧です。こうやって見るとすべてがかなり曖昧な言い回しになっていますよね。
私が最低限を定義するならば、殆どの方がシビアコンディションに該当すると思います。この条件を最低ラインとすると殆どの車が2,500km~5,000km又は6ヶ月未満でのオイル交換が望ましいという事になります。
何事もメーカーの説明書って大切なんです!中古車を買って説明書がない場合はメーカーのお客様相談サービスに問い合わせしても良いでしょう。
オイルが減り始めたら固いオイル?
走行距離が多くなると、ピストンやエンジンブロックなどの磨耗からエンジンオイルが減っていくと言った故障が発生する場合があります。その時には、メーカー推奨値より固いオイルを入れたら大丈夫と言う方もいますが、私は反対です!
オイルが減っていく時点で、すでに故障です。単にごまかしているだけにすぎません。根本を修理しないと、あとあと大きな出費に繋がりますよ!
愛車を労わりたいなら、根本を治してあげましょうね^^
まとめ
この記事を書くに至り、沢山のサイトを調べてみました。しかし、どれを見ても本当に最適な交換距離数や期間と言ったものは書いてなく、更に言えば車マニアになればなるほど、その考えに違いが生じているという事を感じています。
「商業目的」と言うと悪く聞こえますが、メーカーは信頼性を売らなければなりません。メーカー推奨値内でエンジンが壊れればメーカーの威信に関わってきます。消費者と生産者では考えに違いが生じるのは仕方ありませんが、自分が生産者(売る側)に立てば、「言う事聞いてよ~!」ってなると思います。
つまりは、説明書をしっかりと読むようにと!メーカーがウソを言って得する事なんてないんですからね。ウソ言ったらVWのようになっちゃうから・・・。
オイル交換を題材にする時点で、ウチのメカともいろいろ協議しましたが、同一車を長く乗っている方は、オイルのグレードにこだわるより、メーカー推奨の粘度のオイルを5,000km以下または6ヶ月以内で交換されているという結論が出ました。
車には個体差があり絶対とは言いきれない部分があるのは百も承知していますが、10,000kmでの交換では遅すぎると感じています。車を愛する方なら早めのオイル交換をおすすめします。
また、当店は化学に精通しているわけではありません。あくまで整備工場と言うスタンスで早めのオイル交換を推奨しています。化学とオイル交換の相関性があり、当記事に異論がありましたら、全国の皆様にお役に立てる記事になりますよう、コメントやご意見を具体的に、または化学の論点から御教授願いたいと思います^^
⇒ エンジンオイルとフィルター(エレメント)交換方法を解説します!